筒井康隆氏についての…

筒井康隆さんについての情報を中心としたブログです

タイム・トラベラー

NHK少年ドラマシリーズ第1作『タイム・トラベラー』は1972年1月1日(土)〜2月5日(土)、全6回で放映されました。<グラフNHK>1972.1.1には「<ジュニア・ドラマシリーズ>新登場 第一回は空想科学もの 『タイム・トラベラー』」という記事があり、また3年ほど前に某オークションに出品された当時の台本(写真)を見るとあくまで「連続ドラマ」としか書かれていないので、馴染みある「少年ドラマシリーズ」という呼称が放映時どれだけ浸透していたかは?です(同番組の再放送を伝える<グラフNHK>1972.7.1では「少年ドラマシリーズ」と記されています)。
放映初回の毎日新聞TV欄には下記の紹介があります。

「超能力?をもつ少女 −『タイム・トラベラー』「ラベンダーの謎」(NHKテレビ後6・20カラー) 新番組。今日から始まる少年ドラマシリーズの第一回。正体不明の男子生徒がつくった液のにおいをかいで以来、過去や未来に飛べるという超能力を持つようになった少女が、その男子生徒の謎(なぞ)を追いながら巻きおこす事件を描いたSFふうサスペンス・ドラマ。原作は筒井康隆。演出は佐藤和哉

放映初回は元旦の夕方、18:20〜18:50の放映(第2回以降は18:05〜18:35)でしたが、反響はとても大きかったようです(なお同日は筒井さんも出演された文士劇杜子春」も東京12チャンネル16:00〜17:00で放映されていました。両方見たという方はどれくらいいたのでしょうか)。
<東京おとなクラブ>5号(1985.6.1)特集「タイムトラベラーとNHK少年ドラマシリーズ」掲載、演出の佐藤和哉氏のインタビューにはこうあります。

「(『タイム・トラベラー』)はお正月に放送したんですけど、休みをあけて出て来たら机の上が本当に投書の山でした」

その人気は本作の再放送(1972.7.23〜28)に続き、『続タイム・トラベラー』(1972.11.4〜12.2 全5回)の製作、さらにはのちのちまで続く「NHK少年ドラマシリーズ」の隆盛をもたらすことになりました。
また原作である『時をかける少女』にも人気が集中、軽装版である「SFベストセラーズ版」が発行されることとなります。私は当時の『タイム・トラベラー』を知らず、この「SFベストセラーズ版」で初めて筒井さんの作品に接することになるのですが、それはまた次の機会に。

追記:この『タイム・トラベラー』や「NHK少年ドラマシリーズ」については多くの素晴らしいサイトが詳しい情報を掲載しており(代表的なものを下に掲げます)、また一視聴者の貴重な録画をもとに復刻された『タイム・トラベラー』最終回を含む「NHK少年ドラマ・アンソロジーI」を初めとするDVD群、記録集『NHK少年ドラマシリーズのすべて』(アスキー)があります。是非そちらをご覧下さい。