筒井康隆氏についての…

筒井康隆さんについての情報を中心としたブログです

山本二三と絵映舎の仕事展

  • 2007.2.23〜2.27 板橋区立成増アートギャラリー

昨日2/27、「山本二三と絵映舎の仕事展」最終日、何とか時間を見つけて行ってきました。吉祥寺からバスに揺られること約一時間、この街に来たのは板橋区立美術館での「ディック・ブルーナ展」以来でした。
駅前には開催を伝えるポスター。アートギャラリーのあるビル、アリエス前にも。

会場に入るとまず目に入ってきたのが『時をかける少女』のポスター。真琴が夏の青空と雲を「背景」に跳躍するあれでした。そして掲げられていたのは山本氏の言葉。一部を紹介させていただくと、
「『時をかける少女』では、若いスタッフは泣きながらも私について来てくれました。初めて会社として美術部門をグロスで受けたのですが、赤字でした。しかし、映画がヒットし、美術部門が映画の40%を支えてくれると言ってくださる方もおりました。有限会社 絵映舎で劇場用長篇を1本、制作するのが私達の夢です」
その言葉を胸に、映像で数秒しか映らない「背景」をゆっくり見ていきました。
何度も繰り返し見たあの「分かれ道」「踏切へ至る坂」「ゴーヤ棚」…。山本氏の描く背景には突き抜ける夏の青空と白い雲がいつもありました。そして絵映舎のスタッフの方々による作品も素晴らしかったです。倉野瀬高校、博物館、夕暮れ、時の止まった交差点。静けさ、風の過ぎる音、緑の深さ…。眺めていると今にもそこに真琴や千昭や功介が出てきそうな、そんな気がしました。あの大きなスクリーンに映し出されるが故に、この緻密な、そしてあくまでもひっそりと佇むようにそこに在る「背景」が必要なのだと感じさせられるひとときでした。
山本氏をはじめスタッフの方々のプロフィールと仕事への想いが記されたボードもあって、そこには来場者へのメッセージが直筆で書かれていて、ひとりひとりのメッセージを読んで心が温かくなりました(スタッフの皆さんの山本氏に対する敬意が溢れていて、改めて山本氏の巨きさも感じました)。

会場で販売されていた図録は迷わず購入。複製原画とポストカードセットは迷いに迷った末、一つずつ。宝物を抱えるようにして家路につきました。 絵映舎の次回作は『ミヨリの森』とのこと。皆さん、公開の暁には劇場へ足を運びましょう。