筒井康隆氏についての…

筒井康隆さんについての情報を中心としたブログです

朗読会レポート その4

口上
第二部の最初に裃姿の上山さんがご登場。「とざい」と口上を始められ、本来ならば大殿である筒井さんがやられるところ「正座が辛い」とのことで上山さんが担当することになったと事情を説明。今回の公演は一昨年の五月、北沢タウンホールで催された「筒井康隆筒井康隆を読む」の再演であり、初演の際の「おもての行列なんじゃいな」に代わって先ほどの「陰悩録」が昇格したこと、もちろん老中である山下さんも前回同様馳せ参じていることを話されました。
そして筒井さんにお会いするといつも元気でおられるように見受けられるが、昨年は腸内ポリープ切除、最近はかゆみと鼻水に悩まされる日々、ブログの更新も滞りがちということで舞台出演は今回が最後と自身でご決断されたと語り、筒井さん最後の舞台を見届けていだたきたいと会場全体に漂う残念という気持ちを自ら振り払うように述べられました。
「第二部 最初は三九〇冊に及ぶ筒井康隆全著作が次から次へと現れます。山下洋輔乱れ打ち。「組曲 筒井康隆全作品」、ごゆっくりお楽しみ下さい」と深々と頭を下げられました。大拍手のなか山下さんがご登場。『組曲 筒井康隆全作品』が始まります。

組曲 筒井康隆全作品』
第二部。舞台上手上方のスクリーンに「筒井康隆全著作集1965-2010」の文字が映し出され『組曲 筒井康隆全作品』が幕開け。実は一昨年の公演ではこのスクリーンには作品名が次々に映し出されていたのですが、年度が誤っていたり、出版社名が違ったりとちょっと残念なところもありました。今回は平石滋さん監修のもと、著作・編著・共著の書影が年代とともに投影されます。
「1965」は『東海道戦争』と『48億の妄想』。公式プログラムで「筒井康隆初体験」を「リアルタイムの「東海道戦争」」と語っておられた山下さん。自らの記憶を辿るように音を奏でていきます。「1966」は『かわいい魔女』(新書館)。1965-2010のなかで単独著作刊行がなかった唯一の年でした。単行本未収録の「恋の魔女宇宙」が読みたくて古書店を探し回ったんだよなあ。「1967」は『時をかける少女』『ベトナム観光公社』『かいじゅうゴミイ』『馬の首風雲録』。表紙扉に山下さんの鉛筆書きでビシュバリク対トンビナイ宇宙戦争の敵対関係と同盟関係が書かれていた、日本SFシリーズの『馬の首風雲録』は相倉久人さん、山下さんを経て平岡正明さんの手に渡ったんだよなあ…。流れ行く書影がそのままその本にまつわる人に、時に、思い出につながり、心が満たされていきます。
「1993」(断筆宣言)に向かって高まる旋律が「1997」(断筆解除)で弾け、やがてフィナーレへ。筒井さんとともに歩んできた山下さんだからこその素晴らしいひとときでした。
大拍手に送られて満面の笑みの山下さんが退場。いよいよ「関節話法」です。
なおこの四百にもおよぶ書影群、平石さんによるとまだまだ新装帯やヴァージョン違いはあるとのこと(特装版も敢えて外されてます)。原作本やレコードや翻訳書やビデオやDVDやCDも入れるとどんなことになるやら。うーん、奥が深すぎる…(レポートまだ続きます。すみません)。