筒井康隆氏についての…

筒井康隆さんについての情報を中心としたブログです

朗読会レポート その6

2/21(日)最終日。
今日も午後三時半入り。二日目で初回分+在庫分が全てはけてしまったので、売場整理とこれまでの集計を進める。と、筒井さんがご到着。追加書籍をいただく。『ヘル』に英国版『パプリカ』、そして初販売となる中国版『時をかける少女』。翻訳書含め三点あったのがありがたかった。早速並べて売場作り。
開場。三連投の方も昨日見かけた方も今日初めての方も。書籍も順調に売れていく。何と開演を待たずして完売となった。「完売しました。ありがとうございました」という張り紙をポップと机に。ちょっと手が震えてうまく書けなかった。事前に作っておけば良かったが、正直そんな余裕はなかった。
第一部の幕が開く。「陰悩録」。何度見ても素晴らしい。この雰囲気は上山さんでしか出せない。それが尊い。また次の機会をと思わずにいられないひとときだった。
「枯葉」「昔はよかったね」。山下さんのピアノはとても優しく胸に響く。橋村氏の写真も懐かしく温かい。
「昔はよかったなあ」。上山さん演じるウエイターも感慨深げ。筒井さんと山下さんの掛け合いは三日間進化し続けた。それぞれのバンドのところ、楽しく、泣ける。
幕間。売場に立っているとポップの書影を見た方に在庫をたずねられる。「すみません。完売しました」と頭を下げる。なるべく多くの方に買っていただきたいという思いもあったが、売ることがただただ嬉しく夢中で、日ごとの品数調整など考えられなかった。申し訳ない。
第二部。「口上」。上山さんはこれが筒井さんの「最後の舞台」になることが本当に残念でならないとの思いを自ら振り切るような弁だった。
組曲 筒井康隆全作品」。映されていく書影それぞれに思い出があり、胸いっぱい。「不良少年の映画史」で知った青空書房にひとり出かけたときのこと。もう会うことが出来ない、あの笑顔を想う。「ジャズ大名」の調べが聞こえる。心が熱くなった。
「関節話法」。何度見ても何度でも笑える。こうして聞き、見ることで、より一層楽しめる。同じ時代に生きていることの喜び。得難くそして有り難い。
「発明後のパターン」。笑いに笑った。そしてカーテンコール。
筒井さん、山下さん、上山さんが舞台に。上山さんの手招きで白石冬美さんが壇上へ。筒井さんに花束贈呈。ここで上山さんが「今回を以て筒井さんは舞台を卒業されます。御御足の悪い方以外は、どうぞご起立ください」 と言って、客席が総立ちになったと思ったら、では「山下さん、伴奏を」ということで、なんと「蛍の光」が。
蛍の光」をあんなに一所懸命歌ったのはいつ以来だろう。いやはじめてかも。
蛍の光」が終わったのち筒井さんが前に。「こんなことは聞いていなかった。何か喋らなければいけない感じだから話すけど、事前に教えておいてくれれば…」としばし考えられた後、「これまで五十年間、わたしの作品を読んでくれて、わたしの演技を見てくれてありがとう。舞台はこれで引退しますが、テレビドラマでちょっとした役が来れば…」と。どよめきと喝采のなか「読者のことを考えて今まで使わなかった、文字・言葉・表現が私にはあります。今後は自分の好きなように好きな小説を書いていきたいと思います。ご期待ください」と力強く語られました。大拍手のなか中村満さんによる「筒井康隆万歳」の掛け声。いっしょになって万歳しました。
終演後、売場を片付け、この三日間お世話になり続けた中村さんに挨拶。本当にありがとうございました。平石さんとともに筒井さんに三日間の書籍売り上げをご報告。労いの言葉をかけていただき、三日間終わった〜とこの時初めて思いました。平石さんと「終わりましたね〜」とお互い顔を見合わせ、至福の三日間は幕を閉じました。
筒井さん、山下さん、上山さん、白石さん、中村さん、スタッフの皆さん、参加された皆さん、物販売場で一緒だった皆さん、平石さん、本当にありがとうございました。またいつかどこかで…。(終)