筒井康隆氏についての…

筒井康隆さんについての情報を中心としたブログです

筒井康隆コレクション発刊記念 『日本SFの幼年期を語ろう』

 というわけで行ってきました、新宿文化センター。新宿駅から歩いて15分ほど、会場に着いたのは18時頃。小ホールのある3階に上がると既に列が出来ていました。とりあえず最後尾に並んでしばらくするとエレベーターで筒井さんがご登場。これには座っていた人たちもみな起立(笑)。それに手を挙げて応える筒井さん。かっこいいです。
 開場18:30。分厚い『筒井康隆コレクション I 48億の妄想』(署名入!)を受け取って、ポスターを買って、扉前でしばらく待って、18:45頃席につきました。人によってはネット予約だったり、当日支払いだったり、また受付と物販が隣り合ってたりで、全体の入場が遅れ、開始は19:10頃。
 Live Wireの方の紹介で日下さん、続いて筒井さんがご登場。今回もメモを取らずでしたので、記憶をたよりに駆け足でレポートします。
 トークショーは、筒井さんの足跡とともに「日本SF幼年期」を辿っていく形式。最初は1957年のハヤカワファンタジーの話題から。それまでポケミスを読んでいた筒井さん、梅田駅前の旭屋書店で銀色の背の、ジャック・フィニイ『盗まれた街』とカート・シオドマク『ドノヴァンの脳髄』の二冊に出会い、自宅の縁側で読み、とても面白く魅せられたこと。また翌年創刊の「SFマガジン」で、短篇でこのような世界を描けるのなら自分も書いてみようと考えたこと。そして新人賞などない時代だったため、「家族」で創る同人誌「NULL」創刊(1960年)に至ったことが語られました。
 「NULL」創刊号は話題となり各紙にとりあげられ、江戸川乱歩からも手紙が届き、筒井さんの「お助け」、正隆さんの「二つの家」、俊隆さんの「相撲喪失」が「宝石」に転載されたこと(嘉隆氏が乱歩さんへの返信に乱歩さん自身の手紙を入れてしまい、靭公園から自転車を走らせたエピソード)。上京して、大坪直行さんと訪れた乱歩邸でのこと(人間椅子!)。乱歩の見出す力(筒井さんはじめ大藪春彦中原弓彦等)。星さんとの出会い。「宇宙塵」との交流。ヌルスタジオ(1961)。眉村卓さん、小松左京さんとの出会い。「科学朝日」でのショートショート連載。山川方夫氏のこと。第1回日本SF大会。第2回ハヤカワS・Fコンテストでの「無機世界」は枚数制限があったため、「幻想の未来」を短縮して応募したこと(1962)。「団地ジャーナル」でのショートショートは団地を題材としたものばかりだが「給水塔の幽霊」など傑作。東都書房へ持ち込んで原田裕氏に見せたが、没となった長篇「意識の牙」(1963)。その原稿がつい最近書庫の下の引き出しから出て来たこと。「幻想の未来」は「宇宙塵」で連載したが、辛口批評もあったこと(その一部は『筒井康隆コレクション』の日下氏解説で紹介)。自ら主宰したDAICONでの「鉄腕アトム」上映(1964)。日本SF作家クラブ。「スーパージェッター」。原宿・森ビルへの転居。『東海道戦争』は銀座の近藤書店で現物を見て、嬉しかったこと。『48億の妄想』は刊行時、早川書房に赴いた際、早川社長のデスクで写真入りの新聞広告を見せられたこと(1965)。『48億の妄想』、今回、久々に読み返したが、我ながらよく出来た傑作だと思うこと。『時をかける少女』を悩みながら書いたこと。「SF新聞」のこと。「話の特集」の矢崎泰久さんは「お玉熱演」を気に入ってくれたこと。同誌発表「最高級有機質肥料」のゲラをうどんを食べながら読んだイラストレーターのこと。学年誌、少年漫画誌での連載(「細菌人間」)。『かわいい魔女』収録の「恋の魔女宇宙」のこと(弟さんの作品のこととそれにまつわるいくつかのこと。「カーステレオ101」とかフラゴンとか…)。「MEN'S CLUB」はショートショートと短篇の中間の20枚程度で、気に入っている作品が多いこと(1966)。山下洋輔さんとの出会い。「東京諜報地図」からの中間小説誌進出。『マッド・タウン』『馬の首風雲録』連載。酔狂連のこと(1967)。「アフリカの爆弾」(掲載題名「アフリカミサイル(珍)道中」)と直木賞のこと。「筒井順慶」連載事情。「花椿」掲載の「女スパイの連絡」。長尾みのる氏のイラスト満載の『にぎやかな未来』。『幻想の未来』刊行すぐに南北社が倒産したこと(1968)。『霊長類 南へ』原稿と生島治郎氏のこと。覆面座談会のこと(調停役の矢野徹さん)。『かいじゅうゴミイ』『地球はおおさわぎ』などジュブナイル作品のこと(『地球はおおさわぎ』は筒井さん自ら横山隆一氏に依頼したこと)。講談社からの単行本四点(『ホンキイ・トンク』は書店店頭で若者が「あ、これだこれだ」と言って買って行った)のこと。現代作家シリーズ『わが良き狼』と三一書房のこと(1969)…。
 ざっと時系列別に思い出しながら書いてみましたが、平井和正豊田有恒両氏とのボーリングのことや「心臓に悪い」の結末のこと、その他抜けているものいっぱいあるかと思います。すみません…。とにかく、休憩をはさんでの二時間余、あっという間でした。
 今回は『脱走と追跡のサンバ』の前まで、続きはまたの機会に…ということです。『筒井康隆コレクション』完結時には大きなイベントもとのことでしたので、また楽しみが増えました。
 筒井さん、日下さん、Live Wireの皆さん、出版芸術社の皆さん、楽しい時間をありがとうございました。