筒井康隆氏についての…

筒井康隆さんについての情報を中心としたブログです

筒井康隆トーク&オークションイベント「わたしの筒井康隆」1』

 筒井書店でいろいろ買った後、一旦家に戻ったのですが、夕方の京王線が遅れ、ふたたび世田谷文学館に着いたのは17時の受付開始後。「ビーバップ」放映のモニター前にはもう受付を終えたひとが一杯でした。
 17時半開場。席にはオークション出品目録と応札の札。期待が高まります。
 18時。拍手に迎えられて、筒井さん、菊地さんがご登場。
 以下、簡単にレポートします。
 菊地さんは12年前「Quick Japan」の筒井さんの対談(「拡散するツツイチルドレンは実験とポップを両輪とする」Quick Japan 66号 2006.6.20)では、ほとんど喋ることが出来ず、司会の大谷能生さんに叱られたというエピソードを披露。何度か耳にした話ですが、そのたび「そうだよなあ、喋れないよなあ」と心の中で肯いてしまいます。
 菊地さんが「思い出の品を持ってきて」と言われたのでと取り出したのは「SFマガジン」3冊。「トラブル」「邪学法廷」「脱走と追跡のサンバ」最終回の掲載号でした。菊地さんの兄である菊地秀行氏が部屋に残した「SFマガジン」を菊地さんはずっと読んでいたそうです。
 筒井さんからは菊地さんがDJをつとめるラジオは聞いていないが、それの書籍化『菊地成孔の粋な夜電波』を読んで、話したことがそのまま本になることもすごいし、合間に選曲があり、それも素晴らしい。ディスクジョッキーが語って合間にジャズのスタンダードを流すという、この手法を使って「ダークナイト・ミッドナイト」を書いたと明かされました。
 それを受けて、菊地さんが『菊地成孔の粋な夜電波』で番組まるごと朗読という企画を三度だけやったことがあり、そのひとつは筒井さんの「中隊長」だった。田中みな実さんといっしょに朗読したが、彼女は何度もリハを繰り返し、完璧な朗読だったと語り、筒井さんは小説の朗読で女性の声をやるのは不得手、次回朗読を予定している短篇「馬」では女性の声も必要で、しょこたんにやってもらおうかとも思っていると話されました。
 ここで筒井さんが菊地さんが言う「筒井康隆山下洋輔文化圏」について聞かれ、菊地さんが山下さんのエッセイを読み、筒井さんを読み、そこから派生するさまざまな事象に触れ、どんどん魅せられていったこと。山下さんとは武田和命さんが亡くなった後にトリオのひとりとして参加し、山下組として演奏するようになったことを話されました。
 筒井さんは、武田氏は無口で、舞台「ジーザス・クライスト・トリックスター」にも出演してもらったが、科白の少ない役でもこれで一年分話したと言っていた。懐かしいと話され、そこから山下洋輔さんの話になり、最後はとにかく身体を大事にして欲しいとお二人ともおっしゃっていました。
 続いて菊池さんから筒井さんへの質問。
 「ギターは今でも持っていますか」
 筒井さん「ボサノヴァをやりたくてギターを購入したが、習ったのが伊勢昌之氏でとにかく教わったのが難しいコードばかりだった。一曲でやめてしまった。ギターは今でも持っている」と返答。
 菊地さんからの質問2つめ。
 「レスポールをめぐっての中村とうよう氏との一件」について。
 結論は「誤爆したかも知れない。しかし誤爆してももやり続ける」。
 心の中で大拍手でした。
 菊地さんはジャズマンとして自分しか出来ない質問を考えたとのことでしたが、確かに。普段聞けないもので、とても面白かったです。
 その後、筒井さんとアントニオ・カルロス・ジョビンは顔と声がそっくり(特に若い頃)だとか、来週シネマヴェーラ渋谷で行われる、瀬川昌久氏と筒井さんの対談、あれを仕掛けたのは蓮實重彦氏だとか(同じシネマヴェーラ渋谷でのトークで蓮實氏は「エディ・キャンター」のことは来週筒井さんが話されると思うのでと、語らなかったことなど)、コルトレーン来日の際のファラオ・サンダースのこと等々…。あっという間の時間でした。
 18時50分。トークショー終了。続いて「奔馬菌」の朗読が始まります(続きます)。