筒井康隆氏についての…

筒井康隆さんについての情報を中心としたブログです

「「読書」の極意と掟」東京国際ブックフェア読書推進セミナー

 行ってきました! 東京国際ブックフェア国際展示場駅に着いたのは11時半頃。AKB握手会も同日開催ということでかなりの人出。先に会場へ着いておられたアホウドリさんより既に少し行列がという情報。軽くおにぎりを食べて会議棟へ向かいました。
 1Fへ向かうエスカレータを下りると行列。アホウドリさんと合流して並びました。12時過ぎでしたが既に50人ほどだったでしょうか。
 講談社ブースで販売の『創作の極意と掟』署名入は「3刷出来」の金帯だったとか、KADOKAWAブースの『偽文士日碌』は30冊限定だったとか、つい先日初出誌が判明した「欲望」のこととか、小松左京さんの『怪人スケレトン博士』のこととか国会図書館のデジタルデータ公開についてとか話していると、どんどん後ろにも行列が。
 13:15受付開始。「2列」と書かれた整理券を貰って指示通り、2列目に座りました。正面には大きなスクリーン、上手に演台。
 1000名は入るだろうと思われた会場はすぐ満員(応募は3500人を超えたとか)。生中継会場ってどんな感じなんだろうとか金沢文芸館に展示されているという『虚人たち』の生原稿のことやら話しているうちに開演の時間になり、筒井さんご登場。会場大拍手。メモもとっておらず申し訳ありませんが、簡単にレポートします。

 まずは今回の演題「読書の極意と掟」のことから。主催者が勝手に付けてしまい、チラシにも印刷してしまった。『創作の極意と掟』にあやかったものだろうが、仕方ない。もっと面白いものをやろうと思ったが、これで今日は行かせていただきます、と。
 基本は読書(創作にも)には手法などないと思っているが、これだけ本が溢れている状況では、読書(ここでは小説を読むこと)にもある程度のものは必要。私の経験から言えば戦中戦後すぐは本が無く皆貪るように読んでいた。幸い私は疎開されていた親の蔵書があり、そこに漱石全集や新潮社の『世界文学全集』があった。『漱石全集』1巻の『吾輩は猫である』のユーモア感覚には魅せられた。『世界文学全集』に代表される古典は、実はその時代のエンターテインメントであり、ゾラの『ナナ』が出た時は書店に客が殺到したというし、ドストエフスキーは地方に赴くと迎えのファンで駅が溢れた。古典は難しい表現もあるが現在は読みやすい新翻訳が出ているので、全集をどんどん読み、お気に入りの作家、ジャンルを見つけて欲しい。また書評をもとに自分の好きな本を紹介している批評家を見つけるのもいいし、どう批評しているかを見極めることが批評眼を養うことにもなる。全集、またアンソロジーなどで好きな作家を見つけたらその作家の作品を続けて読む。飽きることもあってもいい。その作家や作品だけでは満足出来ず、もっと他の作家・作品を求めることは、自分が成長している証であり、読書の幅が広がっていること。
 沢山本を読むことは必要。いきなり前衛的な作品を読んでも内容は理解出来ない。ジャンルとしてはSFを読んで欲しい。SFの手法はSFだけに留まることなく、今や純文学を含めあらゆる小説に応用されている(SFの浸透と拡散)。
 ところでSFといえば、とここで筒井さんは世田谷文学館で7/19より開催される「日本SF展 SFの国」をアピール。9/14の朗読会は1時間と長いので「ペニスに命中」を朗読すると発表。そこここで歓声が。

 後半は待望、「奔馬菌」の朗読でした。「東京国際ブックフェア」と記された演台で奏でられる、得難いひととき。何度「国際」という文字を見返したでしょうか。
 読み終えられたあとのしばしの沈黙。そして大拍手。手を挙げ応える筒井さん。素晴らしかったです。

 終ってからはひさびさに会った方も含めてお茶とビールと食事。「朝のガスパール」や電脳筒井線の話も。もう二十年以上前になるんですねえ。いろいろあったなあ。

 筒井さん、フェア運営の皆様、楽しい時間をありがとうございました。
 なんとか抽選に当たって、9/14の「ペニスに命中」朗読会も参加したいものです。

  • 追補として

お薦めの前衛作品は、ル・クレジオ『物質的恍惚』『調書』にミシェル・トゥルニエ『赤い小人』を挙げておられました。また桜坂洋All You Need is Kill』は死の繰り返しを描いたものとして傑作ともおっしゃっていました。