筒井康隆氏についての…

筒井康隆さんについての情報を中心としたブログです

時をかける少女

  • 初出/<中学三年コース>1965.11〜1966.3 <高一コース>1966.4〜5
  • 全7回連載 イラストレーション/石井治


劇場アニメーション『時をかける少女』公開記念として『時かけ』ミニ特集をやりたいなあと考えていたのですが、まさか試写会後に体調を崩し、公開最初の週に入院してしまうとは思いませんでした。準備も余り出来なかったため取りやめようかとも思ったのですが、せっかくの機会ですのでミニミニ特集をやることにしました。短い間ですがどうぞよろしくお願いします。

時をかける少女』の連載が<中学三年コース>で始まったのは1965(昭和40)年11月号、翌年の<高一コース>1966年5月号まで、半年以上にわたる連載となりました。いわゆる学年誌・学習誌と呼ばれる媒体での連載は「悪夢のかたち」(<中学二年コース>1964.9〜12)に次いで二作目になります。この頃は、筒井さんに限らずSFの発表媒体として児童誌・学習誌が大きな位置を占めていた時期でした。同時期にいわゆる<中学コース>に連載されていた作品をいくつか挙げてみると、

となります(「小松左京マガジン」、「密室系」少年探偵小説の部屋 少年探偵小説・作家別リストならびに掲示板 を参考にさせていただきました。ありがとうございました)。このあたりの雑誌は国会図書館でも所蔵が余りなく、北海道立図書館・栗田文庫が蔵書数では一番だと思います(私もある方にその存在を教えていただき、時折利用させてもらっています。この栗田文庫については、よくぞ残しておいてくれた! よくぞ寄贈してくれた! そしてよくぞ受け入れてくれた! ということに尽きます)。興味をお持ちの方は問い合わせてみて下さい。

私はこの時期の<中学三年コース>の5冊不揃いを一昨年古書店で買ったのですが、残念ながら「時かけ」掲載分は三冊のみ(写真は1965年12月号)でした。目次には「連載SF小説」とあり、各回の最初には前回までの「あらすじ」が掲載されていました。イラストレーションは石井治氏。芳山和子はじめ、全体的に暗めのトーンでちょっと怖い感じです。連載は学年をまたいで<高一コース>に引き継がれ、5月号(全7回)で完結。最終回には「連載を終えて」という小文もありました(単行本・全集未収録)。

時をかける少女』は何度も映像化され、そのたびに雑誌等で特集記事が組まれたりしましたが、特に今回のアニメ化に際しては筒井さんのインタビュー記事も多く、執筆にだいぶ苦しんで(神宮の杜や新宿御苑を)歩き回ったというエピソードも紹介されています。また2002年秋に紫綬褒章を受章された際には「編集者に書かされた作品は『時をかける少女』だけ」ともおっしゃってます。その数々のインタビューのなかでも興味深いのは、カドカワムック<ゲームファンタジア>No.1(1994.6.8)『時をかける少女』小特集での発言。少し紹介すると、

「(芳山和子のモデルは)女優でいえば『柔道一直線』に出ていた頃の吉沢京子みたいな」
「やや太め、身長は普通」「髪型はショート」「制服はセーラー服」
「(住んでいる街は)東京の中野区の江古田」「だから、和子は下町娘」

とても具体的なイメージです。このインタビューでは和子の血液型や星座も明かされていますので、この<ゲームファンタジア>を古書店で見かけたら是非お買い求めください。

次回(いつになるんでしょう)は最初の映像化となった『タイム・トラベラー』についてです(盛光社ジュニアSF版は紹介済なので)。