筒井康隆氏についての…

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筒井康隆筒井康隆を読む」レポート その2

「昔はよかったなあ」。もしかすると山下さんの演奏とともに筒井さんの朗読を聞くという、こんな贅沢な体験は初めてじゃないのかなあ。こんなに幸せでいいのかなあと思いながら、筒井さんの語りとそれを包み込む山下さんのピアノの音色に引き込まれていきました。終盤のそれぞれのグループに呼応する山下さんの即興プレイ。シビレました。「星新一とスターダスト」にはちょっと泣けました。
筒井さんと山下さんはお互いをたたえて両手で握手。あまり表現する機会がないように思えるので、ここで言っておきたいのですが、私は筒井さんや山下さんと同じ時代に生まれてこのような場面に立ち会う事が出来て幸せです。
休憩の間、ロビーに出ましたが、煙草を吸いに走る人が初日よりも多かったような…。「翻訳本完売しました」とのアナウンスも。「サイン本販売中」の陳ビラ、欲しいなあと思うも言い出せず。
第2部は「組曲筒井康隆全作品」から幕開け。スクリーンに映し出されたのは、年号を背景に筒井さんの作品名と出版社(誤りが多々あったのは残念)。シンプルが故に、書名ひとつひとつにその時々の思い出がよみがえります。『美藝公』と平岡さんの『筒井康隆はこう読め』が一緒に並んでいて、レジで会計をすませ、さて帰ろうと財布を見たら30円くらいしか残ってなくて六甲道から鶴甲団地まで延々歩いた上り坂。「狂気の沙汰も金次第」の色紙と初めて直接いただいたサイン本『12人の浮かれる男』を宝物のように抱えて帰った神戸文化会館からの下り坂。門書店のレジ脇に積まれていた山から探し当てた『発作的作品群』。手がぶるぶる震えて止まらなかったなあ。だって「六五〇円です」って言うんだもんな。
1964年の「スーパー・ジェッター」から2008年の「ダンシング・ヴァニティ」まで、四〇年以上の歴史を伴走するかのように山下さんの演奏が場内をかけめぐります。この一瞬一瞬は一度として同じものはないのだと実感できたひとときでした。そして書物がひとの想いを紡ぐものだとも改めて思えるひとときでした。
大拍手に送られて山下さんが退場。いよいよ「関節話法」となりますが、この続きはまた。